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廻季

平安時代の十二単の柄や色と、背景となる藤の花を逆に配した。

平安時代の文様をモチーフにした藤の花が身体と髪を覆い、本来は衣装の内側に描かれるべき襲の彩色が背景として描かれている。背景と身体の模様を反転させるという一見単純な行為が、無限の解釈を可能にしている。背景と同化した髪の存在が奥行きを与え、身体に不確かさと内と外の曖昧な境界を生み出している。

この作品でIは、存在は自己によって形作られるのか、それとも周囲によって形作られるのかという問いへの答えを曖昧にしたまま表現したものだ。

 

藤の花は、私自身の幼少期の記憶から「死」のイメージを喚起させるが、反転させることによって生きることの意味へと変化する。曼珠沙華の花はお彼岸のころに咲く。

3000×1800mm

Acrylic paint on canvas

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